○朝霞地区一部事務組合救急業務等に関する規程
平成22年12月28日
消防本部訓令第4号
朝霞地区一部事務組合救急業務実施規程(平成10年消防本部訓令第8号)の全部を改正する。
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 救急業務(第3条―第11条)
第3章 救急活動(第12条―第28条)
第4章 救急自動車の取扱い(第29条―第31条)
第5章 教育訓練(第32条―第38条)
第6章 報告(第39条―第41条)
第7章 住民等に関する研修指導(第42条―第45条)
第8章 雑則(第46条・第47条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
(定義)
第2条 この訓令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 救急業務 法第2条第9項に規定する救急業務のほか、次に掲げるもの
ア 現に、医療機関その他の場所(以下「医療機関等」という。)にある傷病者で、当該医療機関等の医師が医療上の理由により医師の病状管理のもとに緊急に他の医療機関等に搬送(以下「転院搬送」という。)する必要がある者を救急隊によって搬送すること。
イ 傷病者を搬送することが、その生命に著しく危険を及ぼすおそれがあり、又は傷病者の救助に当たり、緊急に医師を必要とする場合に、救急隊によって医師を当該傷病者のある場所に搬送すること。
ウ 医療機関等から緊急に医療用資器材等を輸送、又は救急現場へ救急資器材等を輸送すること。
(2) 救急現場 救急業務の対象となる傷病者のある場所
(3) 救急活動 救急業務を行うための行動又は医療用資器材等を輸送する行動で救急隊の出場から帰署までの一連の行動
(4) 傷病者 負傷者及び疾病者
(5) 医療機関 救急病院等を定める省令(昭和39年厚生省令第8号)第1条及び医療法(昭和23年法律第205号)第1条の5に規定する病院及び診療所
(6) 救急隊員 消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「令」という。)第44条第3項に規定する資格を有する者で救急隊員として任命された者
(7) 救急救命士 救命士法第2条第2項に規定する救急救命士の資格を有する者
(8) 応急処置等 救急隊員の行う応急処置等の基準(昭和53年消防庁告示第2号)第5条から第7条までに規定する観察及び応急処置
(9) 救急救命処置 救命士法第2条第1項に規定する処置
(10) 救急自動車 救急業務実施基準(昭和39年自消甲教発第6号消防庁長官通知)救急業務実施基準第9条に規定する要件を満たす車両
(11) 救急資器材
別表に掲げるもののほか、普及啓発用、教育訓練用その他救急業務を行うために必要な資器材
第2章 救急業務
(救急業務の管理)
第3条 消防長は、管内全域の救急事情の実態を把握して、これに対応する救急業務の執行態勢の確立を図るとともに、消防署長以下を指揮監督して、救急業務の運営について万全を期するものとする。
2 消防署長は、この訓令の定めるところにより、所属職員を指揮監督して、執行態勢の確立を図るとともに、救急業務の万全を期するものとする。
3 消防長及び消防署長は、救急業務に関係ある機関及び団体と密接な連携を図り、救急業務の効率的な運用に努めるものとする。
(救急隊の編成)
第4条 救急業務を行うために、消防署及び分署に救急隊を編成する。
2 救急隊は、令第44条第1項の規定により、救急自動車1台及び隊員3人以上をもって編成する。ただし、救急業務の実施に支障がないものとして消防法施行規則の一部を改正する省令(平成17年総務省令第15号)で定める場合には、救急自動車1台及び隊員2人をもって編成することができる。
3 前項の救急隊員は、小隊長(以下「隊長」という。)、隊員及び機関員とする。
(服装)
(隊員の任務)
第6条 隊長は、救急活動全般の責任者であることを自覚し、隊員及び機関員を指揮し、救急活動を円滑に行うものとする。
2 隊員及び機関員は、積極的に隊長を補佐し、効果的に救急活動を行うものとする。
(隊員の心得)
第7条 隊員は、次に掲げる事項に留意し、救急業務に従事するものとする。
(1) 救急業務に関する法令を遵守すること。
(2) 救急業務の特殊性を自覚し、救急技術の向上に努めること。
(3) 常に身体及び着衣の清潔に努めること。
(4) 傷病者に対しては、親切丁寧を旨とし、羞恥又は不快の念を抱かせないように努めること。
(安全管理責務)
第8条 消防長は、救急業務の遂行に必要な安全管理体制を確立するため、施設等の整備を行うとともに、安全に関する教育を実施し、安全管理の保持に努めるものとする。
2 消防署長は、施設及び救急資器材の適正な管理並びに安全に関する教育を実施し、安全保持に努めるものとする。
(安全管理主体)
第9条 救急活動における安全管理の主体は、隊員とする。
2 隊長は、救急活動の特性に応じた安全管理体制を早期に確立するとともに、隊員を指揮して傷病者及び協力者等の安全管理に努めるものとする。
3 隊員は、安全確保の基本が自己にあることを認識し、救急活動における安全監視、危険要因の排除及び行動規制等に配慮して危害防止に努めるものとする。
(感染防止対策)
第10条 消防長は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)第6条第17項に規定する病原体等(次項において「病原体等」という。)からの感染を予防するため、感染防止対策要領を別に定めるものとする。
2 消防署長は、救急業務の実施に際し、病原体等により汚染を受け、又は感染のおそれが生じた場合には速やかに必要な措置を講ずるものとする。
(出場)
第11条 救急隊は、朝霞地区一部事務組合消防部隊出場要綱(平成20年消防長決裁)第2条の規定により出場するものとする。
2 救急隊の出場区域は、管内全域とする。ただし、消防長又は消防署長が必要と認めたときは、出場区域外へ出場させることができる。
第3章 救急活動
(救急活動の原則)
第12条 救急活動は、救命を主眼とし、傷病者に必要な応急処置等を行い、速やかに医療機関等に搬送するものとする。
(救急活動基準)
第13条 消防長は、救急活動を円滑かつ効果的に実施するため、救急活動基準を別に定めるものとする。
(口頭指導)
第14条 消防長は、救急要請時に、指令統括課又は現場出場途上の救急隊から、救急現場付近にある者に電話等により応急手当の協力を要請し、その方法を指導するよう努めるものとする。
(応急処置の実施)
第15条 応急処置は、傷病者を医療機関等の医師に引き継ぐまでの間又は医師が救急現場に到着するまでの間に実施しなければ当該傷病者の生命に危険があり、又はその症状が悪化するおそれがあると認められる場合に行うものとする。
(救急救命処置の実施)
第16条 救急救命処置は、その症状が著しく悪化するおそれがあり、又はその生命が危険な状態にある傷病者のうち、心臓機能停止状態又は呼吸機能停止状態の傷病者に対して行うものであり、埼玉県西部第一地域メディカルコントロール協議会(法第35条の8に規定する協議会の地域協議会をいう。)が定めるプロトコールに基づき救急救命処置を行うものとする。
(説明と同意)
第17条 隊員が応急処置等を行う場合は、傷病者又はその関係者に対し、応急処置等の必要性及び内容を説明し、同意を得るよう努めるものとする。
(医師の指示)
第18条 救急救命士が救急救命処置を行う場合は、医師の具体的又は包括的指示を受けなければならない。
(医師への指導及び助言要請)
第19条 隊長は、救急活動に当たって必要と認めるときは、医師に指導及び助言を積極的に求めるものとする。
(医師の要請)
第20条 隊長は、次の各号のいずれかに該当する場合は、速やかに救急現場に医師を要請し、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(1) 傷病者の状態からみて搬送することが生命に危険であると認められる場合
(2) 傷病者の状態からみて搬送可否の判断が困難な場合
(3) 傷病者の救助に当たり医師を必要とする場合
(医療機関等の選定)
第21条 傷病者の搬送に当たっては、原則として、傷病者の症状及び程度に適応した最も近い医療機関等を選定するものとする。ただし、傷病者又は家族等から特定の医療機関等へ搬送を依頼された場合又は通院加療中の医療機関等がある場合は、傷病者の症状及び程度並びに救急業務上の支障の有無を判断し、可能な範囲において当該医療機関等に搬送するよう努めるものとする。
(傷病者の搬送)
第22条 傷病者の搬送に当たっては、傷病者の状態からみて搬送可能と認められる場合に限り当該傷病者を搬送するものとし、傷病者が複数の場合は、症状が重いと認められる者を優先するものとする。ただし、傷病者又はその関係者が、搬送を拒否した場合は、搬送しないものとする。
(傷病者の搬送制限)
第23条 傷病者が次の各号のいずれかに該当する場合は、当該傷病者を搬送しないことができる。
(1) 明らかに死亡している場合
(2) 医師が死亡していると判断した場合
(3) 傷病者が明らかに感染症法第6条第1項に規定する一類感染症、二類感染症(結核を除く。)、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症又は新感染症による患者で、入院勧告を受けているものである場合
(4) 前3号に掲げるもののほか、法令により責任を負う他の公の機関が搬送することとなっている場合
(転院搬送)
第24条 転院搬送をする場合は、当該医療機関等の医師からの要請で、かつ、搬送先医療機関等が確保されている場合に行うものとする。
2 転院搬送をする場合は、当該医療機関等の医師の同乗を求めるものとする。ただし、医師が直接病状管理の必要がないと認めたときは、この限りでない。
(関係者の同乗)
第25条 隊長は、救急業務の実施に際し、傷病者の関係者又は警察官が同乗を求めたときは、努めて応じるものとする。
2 隊長は、未成年者又は意識等に障害がある者で、正常な意思表示ができない傷病者を搬送する場合は、保護者等関係者の同乗を求めるものとする。
(要保護者の取扱い)
第26条 消防署長は、生活保護法(昭和25年法律第144号)に規定する被保護者又は要保護者と認められる傷病者を搬送した場合は、同法第19条に規定する機関へ要保護傷病者送院通知書(
第1号様式)により通知するものとする。
(家族等への連絡)
第27条 隊長は、傷病者を搬送した場合で、必要があると認めるときは、当該傷病者の家族等に対し、傷病の程度及び状況等を連絡するよう努めるものとする。
(現場保存)
第28条 隊長は、傷病の原因に犯罪の疑いがあると認めたときは、速やかにこの旨を管轄の警察署長に連絡するとともに、現場の保存及び証拠の保全に努めなければならない。
第4章 救急自動車の取扱い
(救急資器材の管理)
第29条 消防長は、次のとおり救急資器材の管理等に努めるものとする。
(1) 救急資器材の整備及び改善を図るものとする。
(2) 救急資器材の使用実態を把握し、効果的な活用方策を講ずるものとする。
(3) 救急資器材の運用上の区分を行うとともに、その需要状況を把握し、適切な配置に努めるものとする。
2 消防署長は、配置されている救急資器材の効果的な活用を図るとともに、適正な管理に努めるものとする。
3 消防署長は、次に掲げる基準により常に救急自動車及び救急資器材の点検整備を行うものとする。
(1) 交代時点検整備 毎日
(2) 使用後点検整備 毎使用後
(3) 定期点検整備 週1回
(消毒の実施)
第30条 消防長は、適正かつ効果的な消毒を実施するため、消毒実施要領を別に定めるものとする。
2 消防署長は、消毒実施要領により、適正に消毒を実施し、記録するものとする。
(救急医療廃棄物)
第31条 消防長は、救急活動により排出される廃棄物(以下「救急医療廃棄物」という。)の処理について必要な管理体制を整備するものとする。
2 消防署長は、救急医療廃棄物の適正な管理に努めるものとする。
第5章 教育訓練
(技能管理)
第32条 消防長は、応急処置技術の改善に努め、隊員の技能の向上を図るものとする。
2 消防署長は、隊員の技能の向上を図るために必要な指導を行い、技能管理を行うものとする。
3 消防署長は、救急活動における事後検証を実施するとともに、必要な処置を講ずるものとする。
(救急技術指導者)
第33条 消防長は、救急課及び消防署に救急技術指導者を置くものとする。
2 救急技術指導者は、救急業務に精通し、相当の実務経験を有する職員のうちから消防長が指名する。
3 救急技術指導者は、消防長又は消防署長の命を受け、救急業務等の指導及び調整に当たるものとする。
(技能審査)
第34条 消防長は、必要と認めた場合は、
第13条に規定する救急活動基準により、隊員の技能を審査することができるものとする。
2 救急技術指導者は、消防長の命を受け、隊員の技能審査をすることができるものとする。
(研修計画)
第35条 消防長は、隊員の知識及び技能の向上を図るため、研修計画を定めるものとする。
(訓練計画及び実施)
第36条 消防署長は、隊員の技能の向上を図るため、訓練計画を定め、訓練を実施するものとする。
(訓練の区分)
第37条 訓練は、次に掲げるものとする。
(1) 基本訓練 隊員としての救急活動に必要な基本的な技能を修得するために行うもの
(2) 総合訓練 救急隊として救急活動全般に対応できる活動能力の向上を図るために行うもの
(3) 普及技能訓練 傷病者を応急に救護するために必要な技能の普及(以下「普及業務」という。)に必要な指導能力を養うために行うもの
(訓練効果確認の実施)
第38条 消防長及び消防署長は、年1回以上、前条に定める訓練の成果を評価し、隊員の技能の維持向上に資するものとする。
2 救急課長は、必要に応じて訓練効果の確認を行うことができる。
第6章 報告
(救急活動記録)
第39条 隊長は、救急活動を行った場合には、救急活動記録票、事後検証票等を別に定める記入要領により作成するものとする。
2 隊長は、心電図等の測定を行った場合には、心電図等測定記録票を作成するものとする。
3 隊長は、傷病者を搬送し、医療機関等に引き渡した場合には、当該事実を確認した旨の医師の署名又は押印を救急活動記録票に受けるものとする。
4 救急救命士は、救急救命処置を行った場合には、救急救命処置録を作成するものとする。
(救急統計報告)
第40条 消防署長は、救急事故等報告要領(昭和39年自消甲教発第18号)に基づき、その月の救急業務の現況(以下「月報」という。)を翌月5日までに、消防長へ報告しなければならない。
2 消防署長は、月報に基づき、速やかに救急年報を消防長に報告しなければならない。
(特異な救急事故)
第41条 消防署長は、特異な救急事故等が発生したときは、速やかに、消防長へ報告するものとする。
第7章 住民等に関する研修指導
(普及業務)
第42条 消防長は、普及業務を効果的に推進するため、応急手当の普及啓発活動の推進に関する実施要綱を別に定めるものとする。
(患者等搬送事業に対する指導等)
第43条 消防長は、民間の患者等搬送事業者が患者等搬送用自動車を使用し、患者等の搬送業務を行う事業に対する指導及び認定について、患者等搬送事業に対する指導及び認定に関する要綱を別に定めるものとする。
(同乗研修の申請及び承認)
第44条 消防長は、医療に従事する者等が救急業務に関する実務経験又は研修等のため同乗研修を願い出た場合は、救急自動車同乗申請書(
第2号様式)により申請させ、承認した場合は、救急自動車同乗承認書(
第3号様式)を申請者に交付するものとする。
(医療に従事する者等の範囲)
第45条 前条の規定による医療に従事する者等は、次の各号のいずれかに該当するものとする。
(1) 医師、医大生、看護師、看護学生等
(2) 救急業務に従事する者又は従事する見込みのある者
(3) 前2号に掲げるもののほか、消防長が必要と認めた者
第8章 雑則
(救急搬送証明書の交付)
(委任)
第47条 この訓令に定めるほか、救急業務等に関し必要な事項は、消防長が別に定める。
附 則
この訓令は、平成23年1月1日から施行する。